世界平和女性連合(女連)のSLAPP訴訟判決(東京地裁令和6年7月1日)の解説

弁護士(東京) 木村 壮

1 本件は、霊感商法や違法な献金勧誘が問題視されている世界平和統一家庭連合(旧世界基督教統一神霊協会。以下、「旧統一教会」という)の関連団体である世界平和女性連合(以下、「女連」という)が、女連の活動について注意喚起する声明を発出した全国霊感商法対策弁護士連絡会(以下、「全国弁連」という)の代表世話人の5名の弁護士と事務局長の弁護士並びに声明についての記者会見で発言した全国弁連所属のK弁護士の合計7名に対して、名誉毀損等を理由として、代表世話人及び事務局長の弁護士については3300万円もの、K弁護士については330万円もの高額の損害賠償請求訴訟を提起した事案である。

2 ことの経緯は以下のとおりである。女連は、令和5年に全国各地で地方自治体または民間が運営する施設を利用し、女子留学生日本語弁論大会を開催する予定を公表していた。旧統一教会は霊感商法や違法な献金勧誘で多数の者に甚大な経済的・精神的被害を生じさせてきた団体であり、このような被害は正体を隠した勧誘が端緒となっていた。一方、女連については、旧統一教会の被害女性から信者時代にその活動に従事させられたとの報告が・・・

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