弁護士(大阪) 増田 尚
1 賃貸住宅管理業法による規制
日本の住宅ストックのうち民間賃貸住宅は約1530万戸(約28%)である(平成30年住宅・土地統計調査)。また、賃貸事業者(所有者)の81.5%が管理業者に管理を委託しているのが実情である。(国土交通省令和元年「賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査」)。賃貸住宅管理業者は、全国で約3万2000社程度存在すると推計されるが、このうち、2022年度末時点で8943社の賃貸住宅管理業者が登録をして、登録済み業者による管理戸数の合計は約790万戸である。
賃貸住宅管理業者に対しては、2011年12月には、告示(賃貸住宅管理業登録規程・平成23年9月30日国土交通省告示第998号、賃貸住宅管理業務処理準則・平成23年9月30日国土交通省告示第999号)が施行されたが、任意の登録制にすぎなかった。そこで、2020年6月に賃貸住宅管理業等の適正化に関する法律(賃貸住宅管理業法)が制定された。
賃貸住宅管理業法は、賃貸住宅管理業を賃貸住宅の賃貸人から委託を受けて行う管理業務と定義し(2条2項)、管理業務とは、維持管理業務(同1号)と金銭管理業務(同2号・・・
この記事は会員に限定されています。ログインしてください。
会員になるには「会員に申し込む」をクリックしてください。