健康食品がもたらした健康被害事件の真相は?

市民バイオテクノロジー情報室代表 天笠啓祐

事件発生

 2024年3月22日、小林製薬は紅麹を用いたサプリメント3種類の自主回収を発表しました。この発表がきっかけで、機能性表示食品の問題点が浮き彫りになりました。機能性表示食品は、事業者が自ら機能性及び安全性に関する資料を収集し、消費者庁長官に届け出ることにより、販売と機能性表示が可能となる食品のことです。事前に有効性や安全性のチェックがないまま、「健康によい」旨が表示でき、販売できるところに大きな問題があります。いい加減な資料を根拠に表示している食品も多く、これまでもそのずさんさが問題になってきました。

 この機能性表示食品をもたらしたのは、アベノミクスです。安倍晋三(故人、元首相)は、内閣発足と同時にアベノミクスを推進するための政策を矢継ぎ早に打ち出しました。同元首相に言わせれば、「世界で一番企業が活躍できる国づくり」を目指したものです。その経済成長戦略の柱の一つに健康・医療が据えられました。2013年3月15日には内閣官房に「健康・医療戦略推進会議」が設置され、6月14日には「健康・医療戦略」(内閣官房長官及び関係閣僚)が閣議決定され、8月・・・

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