海外OTAに対する旅行業法の適用について

弁護士(兵庫) 鈴木尉久

第1 旅行業法の適用を受けていない海外OTA

 海外OTAとは、日本国内ではなく海外に主たる事業拠点があり、海外のサーバを用いて日本国内に在住する者の閲覧に供するウェブサイトを運用しているオンライン旅行取引事業者(Online Travel Agents)をいう。

 現在、海外OTAは、旅行業法上の登録を受けずに、すなわち国内の旅行業に関する法規制を受けずに、ウェブサイト上で宿泊予約や航空予約がリアルタイムに完結する形で、旅行商品を販売している。

 海外OTAは、みずからは旅行サービスの契約当事者とはならないが、消費者は、この点に対する意識が希薄であり、どのような旅行サービス業者との間でどのような条件で契約したのかを十分意識せず、予約の変更やキャンセル時に想定外の手数料を請求される等のトラブルが発生している。

 また、海外OTAが、例えば消費者から旅行代金の支払を受けたにもかかわらず宿泊施設には直ちに宿泊料を支払わずに延滞したり[1]、宿泊施設の許可なく消費者から当該宿泊施設の予約を受け付け、予約の受付と同時に消費者からキャンセルができない形で宿泊代金を収受する(いわゆる空売り)[・・・

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