政治圧力で生まれた統計不正が生存権を踏みにじった
─物価偽装をただす─(第19回)

フリーライター 白井康彦

 我々が取り組んできた「いのちのとりで裁判」は、2023年11月30日の名古屋高裁判決で歴史的大勝利を獲得。2024年2月22日の津地裁判決も歴史的な意義がある完勝でした。今回は、名古屋高裁以降の那覇(2023年12月14日)、鹿児島(2024年1月15日)、富山(1月24日)、津の4地裁判決について説明します。

 津地裁判決は「書きにくいことを勇気を振り絞ってずばりと書いた判決」です。竹内浩史裁判長の個性がそのまま反映されており、私は「ドラマのように生き生きとした判決」と感じました。

 この裁判で原告側が求めたのは、2013年生活扶助基準改定行政処分の取消し。この改定で生活扶助基準が平均約6.5%も切り下げられました。その原因になったのが厚生労働省による「物価偽装」「2分の1処理」というダブルの統計不正でした。津地裁判決は、物価偽装を実質的に認めました。ここまでは、これまでの原告勝訴判決と同様です。津地裁判決が画期的なのは、厚労省が統計不正を実行した動機を推認したことです。

 「自民党の政治的圧力に屈したという動機で間違いない」と私は考えています。自民党への忖度とも言えます・・・

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