(公社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会 消費生活相談員 石倉 央
私は、企業で長く事故やクレーム対応に携わり、現在は行政の消費生活センターで相談員として働いている。事業者から消費者に立ち位置を変え、様々な消費者問題と向き合い日々悩み葛藤しているが、この仕事には多くの学びとやりがいがある。
助言か? あっせんか?
消費生活センター(以下、「センター」)における相談対応は、「助言を原則とすべきか? あっせんを積極的に行うべきか?」という議論がある。
消費生活相談は、「消費者の権利の尊重と自立のための支援」と位置づけられ、消費者自身が事業者と自主交渉できるよう助言し、消費者の自立を支援するのが基本である。そのうえで、高齢者や若年者など交渉力が乏しい相談者や、事案の複雑性・悪質性から自主交渉が困難な事案などは、あっせんを行うと言われたりする。
2000年前後に、消費者は保護の対象から自立支援の対象へ方針転換があり、自立が強調される時代の流れがあったと思われる。しかし今日、急速なデジタル社会の進展などにより、事業者と消費者の力関係は、生身の人間である個々の消費者が自立して事業者と対峙・・・
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