統一教会を脱会した元信者を救済するために

弁護士(岐阜) 神谷慎一

1 はじめに

 私は、1992年から1993年にかけて、統一教会の信者でした。大学3年生から卒業までの期間でした。2002年に弁護士登録してからは、統一教会被害の救済に取り組んできました。もっとも、統一教会被害の違法性の本質を解明して被害救済に道を切り開いてきたのは、多くの先輩弁護士の功績です。その成果を自分の体験に照らし合わせたとき、ようやく、自分に何が起こっていたのか正確に理解することができました。

2 被害の多様性

 霊感商法被害に遭ったものの統一教会の信者にはならなかった場合は、多くの場合、いわゆる悪徳商法の一種と同様に考えてよいと思います。

 統一教会特有の問題は、やはり信者になった場合です。ただし、統一教会に勧誘されて信者になった1世と、1世の子どもである2世とでは、問題状況が大きく異なります。2世も、統一教会信者の家庭に生まれた2世と、親が統一教会に入信してしまった2世とでは、かなり状況が異なります。

 本稿では紙幅に制限がありますので、私と同じ1世を対象にします。

3 違法の本質─人格変容(内心の自由の侵害)

(1)正体を隠した勧誘・教化

 統一教会は、真実は信者を獲得す・・・

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