機能性表示食品の表示規制や制度の在り方についての意見書について

弁護士(秋田) 西野大輔

1 意見書の背景

 2015年に機能性表示食品制度が発足したが、その規模はまさに右肩上がりに拡大し、2024年1月時点で届出件数は8000件を超えている。食品の機能性に注目した制度はトクホ(特定保健用食品)もあるが、こちらは2016年に累計の実質許可件数が減少に転じそれ以降は横ばい傾向であり、主役が入れ替わった感がある。

 活況を呈する機能性表示食品だが、この制度については当初からさまざまな問題点が指摘されており、日本弁護士連合会(日弁連)もこれまで数度にわたり意見書を発出している。

 そもそも届出でよしとすること自体が大きな問題であり、日弁連も過去の意見書で指摘しているものではあるが、届出制を前提とするならば、表示内容が正確なものであることはもちろん、消費者への情報開示や透明性が確保されていることは不可欠である。ところが現行制度は、表示・広告規制の観点でも安全性や機能性の科学的根拠の確保の観点でもまだまだ不十分であり、制度の信頼性には依然として疑問符をつけざるを得ない。

 そこで日弁連は本年1月18日付で表記意見書(本意見書)を発出した。以下、概要を説明する。

2 本意見書の概

・・・

この記事は会員に限定されています。ログインしてください。
会員になるには「会員に申し込む」をクリックしてください。