金融経済教育推進機構の設立にかかる規定の整備に関する意見

金融消費者問題研究所 楠本くに代

はじめに

 首相のロンドンでの所得倍増プラン策定発表(2022年5月)、都知事による国際金融都市・東京構想に基くロンドン訪問等、2000兆円に上る個人金融資産の投資先をひろげるための施策が積極的に進められている。そのロンドン市場では、vulnerable消費者を保護するGuidance、事業者が守るべきConsumer Dutyの新たな導入、CFD等複雑・ハイリスクの金融製品から消費者を守るべく消費者に限定した特別の制限・禁止等法の再構築、紛争が起こった時迅速に解決する訴訟外紛争解決機関の盤石な備え等が着実に進められている。金融経済教育推進機構の設立・運営は金融消費者保護の法制度全体の見直し・整備・海外との落差の是正と一体で行われなければならず、以下を提案する。

1 複雑・ハイリスクの金融製品から金融消費者を保護するための法制度の見直しと整備

(1)CFD等複雑、ハイリスクの金融製品がネット上で大々的に広告され、特に若者等が購入し、損害を被るケースがみられる。一方、英国では、このたぐいの取引に関し、リテール消費者に対する特別の規定を設けている。例えば、binary ・・・

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