成年後見制度の見直しと「相談の制度化」

弁護士(大阪) 薬袋真司
弁護士(大阪) 吉田 実

1 成年後見制度の見直しの動き

 本年2月、成年後見制度の見直しに関する諮問(法務大臣諮問第126号)がなされ、法制審議会に新たに設置された「民法(成年後見等関係)部会」において審議が始められることとなった1

 主な検討課題として、①法定後見制度における開始・終了等に関するルール、②法定後見制度における取消権、代理権に関するルール、③法定後見制度における成年後見人等の交代に関するルールなどが掲げられている。

 このような検討に至った背景には、2022年3月に決定された第二期成年後見制度利用促進基本計画の制定2や、障害者権利条約の国内的施行の要請(特に2022年10月の日本政府への勧告3)、さらには、これらを踏まえて2022年6月から開催されてきた「成年後見制度の在り方に関する研究会」での議論がある4。その背景や議論の方向性については、内閣府・消費者委員会の第421回本会議における上山泰教授(新潟大学)の報告に簡潔にまとめられている。

2 取消権等のあり方と被害救済

 成年後見人の取消権等については、本人の自己決定が必要以上に制限される場合があるとして、本・・・

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