非弁行政書士による離婚条件及び面会交流を定める公正証書作成及び面会交流に関する調整が弁護士法72条に反すると判示された事例(福岡地方裁判所令和3年12月7日判決)

弁護士(福岡) 向原栄大朗

1 事件の概要と請求内容

 原告が、被告である行政書士との間で、当時婚姻関係にあった元妻が娩出した子に関するDNA鑑定のための手続等に係る委任契約(委任契約①)を締結し、さらに、元妻との離婚後には、実子との面会交流に関する調整等に係る委任契約(委任契約②)を締結したところ、これらの契約に基づいて行われた1)原告の元妻により娩出された子のDNA鑑定、2)原告と原告の元妻の離婚に伴う養育費に関する交渉行為及び財産分与の交渉行為と、3)委任契約②に基づく面会交流のための助言・交渉を行った行為がいずれも弁護士法72条に違反し、公序良俗に違反し、当該委任契約自体が無効になるとして、被告に対し、不当利得返還請求権に基づき、上記各委任契約に基づく支払済みの報酬合計62万5000円及び遅延損害金、並びに、被告が原告に、自分の生物学的親子関係のない疑いのある子がいるのに、実子との面会交流を実現することを目的として元妻との感情的葛藤を抑止するためにDNA鑑定の実施を断念するように働き掛けたり、当該子の嫡出性を争わないよう説得したりしたことで、当該子の嫡出否認の訴えの出訴期間を徒過した・・・

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