水道を絶対に止めない
─仙台のライフライン無償化プロジェクトの取組みから─

NPO法人POSSE仙台支部 笠原沙織

ライフラインの貧困の実態

 2022年1月半ば、「2021年末から2週間、卵一つだけしか食べておらず、水道も止められていたため水も飲めていない」という相談が、NPO法人フードバンク仙台に寄せられた。支援依頼を寄せたAさんは、職場の労働問題によって精神疾患を発症し退職せざるを得ず、行政にも相談することすらできない状態に至っていた。収入がない状態で水道とガスは料金未納で止まり、公園の水道で水を汲むことも考えたが寒さで凍っていたため、雪を溶かして水を飲むしかない状態に追い込まれていた。Aさんの生存を守るために、私たちは仙台市水道局に連絡し、水道を再開栓するよう交渉を行った。ところが、水道局の職員は「水道が停止したために(死活問題になる)というのは考えにくい。死活問題というのであれば、公園にでも水道はある。こちらが悪いことをしているわけではない、流れとして支払えない方に対しては給水停止にはいっているだけだ」と言い放った。交渉の末、最終的に未納分を分割払いにすることで再通したが、初期対応では、一括で未納分の料金を支払わなければ開栓しないという態度であった。

 ここか・・・

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