内閣府消費者委員会事務局参事官補佐 近藤 怜
1 はじめに
消費者取引の国際化やデジタル化の進展の下、消費者被害は、益々複雑化・多様化している。本WGは、事業者(団体)の自主的取組みや民事ルールでは対応しきれない悪質商法について、実効的な法整備や違法収益のはく奪、財産保全等の制度を検討するために、令和4年3月に再開された。令和5年8月に公表された報告書1の概要を紹介する。
2 本報告書が念頭に置くいわゆる「破綻必至商法」事案と制度的手当の必要性
豊田商事やジャパンライフのように、高配当・高利益が得られるとうたって多数の消費者を誘引し、多額の出資をさせて、多数の消費者の被害回復が困難になっている事案を、本WGでは「破綻必至商法」と総称した。
現行制度には、行政処分を潜脱して事業を継続する事業者が存在する、行政主導の被害回復手段が欠けている、刑事的手法では迅速な対応が困難である等の課題があり、新たな制度的手当が必要である。
3 制度の対象とすべき「破綻必至商法」
本WGが新たな制度的手当の対象事案と考える「破綻必至商法」は、①事業(事業の実施のために必要な行為を含む)の実体がないにもかかわらず、②金銭の・・・
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