消費者契約法の将来のあるべき姿について

東京大学名誉教授 河上正二

1 周知のように消費者契約法は、当初、契約締結過程において不当な勧誘行為が行われた場合の契約の取消しによる消費者の意思表示の効力を否定して契約からの解放を可能にする規定群と、契約内容となった一部の不当条項を無効にするための最小限の規定群から出発した。その後、実効性確保のために、消費者団体による消費者裁判手続きに関する規定群が追加され、さらに3回の改正作業によって実体法部分の補完が図られて現在の姿になっている。しかし、そのあるべき姿からすれば、なお過渡的形態である。

2 さしあたり、消費者契約の規律の望ましい全体像を示すとすれば、次のようになろうか。

0条 目的規定
1条 一般条項
2条 人的・物的適用範囲
3条 努力義務
4条 契約の成否、契約締結過程
5条 当事者の属性(消費者・意思能力・行為能力、適合性原則)
6条 意思表示の取消し及び取消しの効果
7条 広告・勧誘の位置づけ(判例)
8条 申込み及び承諾・電子的意思表示の特則・電子機器を用いた情報交換に関する特則
9条 条項開示・提供及び説明義務
10条 媒介・委託を受けた第三者
11条 債務内容確定に関する規定・不明確準則など
12条・・・

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