ALPS処理水の海洋放出を正しく認識しよう!

参議院議員(公明党) 横山信一

汚染水は放出されていない!

 東京電力福島第一原子力発電所の事故炉には溶けて固まった燃料デブリがある。冷却状態を保つための水はこれに直接触れるので「汚染水」となる。汚染水を汲み上げ、多核種除去設備(ALPS)によって有害なセシウムやストロンチウムなどの放射性物質を浄化し、発電所の敷地内に保管している。これを「処理水」と呼んでいる。

 現在、保管されている処理水等の貯蔵タンクは1000基を超え、保管場所は満杯に近い状態にある。他方、廃炉に向けた作業は進んでおり、今後、燃料デブリなどの廃棄物の取出しを行うので、安全性の確保のためには広い土地が必要となる。そこで、発電所敷地を埋め尽くしている処理水の放出を始めたのだ。

 現在、放出されているのは処理水であり、汚染水ではない。

 「汚染水」と「処理水」の違いを認識しないと、とんでもない誤解を生むことになる。有害な放射線を放出していると思い込み、次から次へと不安が増大していくからだ。

 繰り返すが、有害な「汚染水」は、一切、放出されていない。

飲料水より薄いトリチウム濃度

 ALPSでは取り除くことができない放射性物質がある。それが「トリチウ・・・

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