失敗を自立に変える支援と消費者教育

(公社)全国消費生活相談員協会理事・関西支部長 雪 美保子

 村(2020)は、消費者教育(消費者啓発)は、相談業務での知識や経験が生きる創造的な取組みとして消費生活相談員などの支援者に期待されている、と述べる。消費者教育推進法は、その目的を消費者の自立の支援、消費者市民社会への参画とし、消費生活に関する知識を修得し、これを適切な行動に結びつけることができる実践的な能力が育まれることを旨として行われなければならない、としている。

 若者の消費者被害では、収入に見合わない多額の借金を負わされている非合理的な事例が少なからず存在する。若者は「騙された自分が悪い」「解約すると相手に悪い」等の心理状態に陥っている場合が多い。失敗に気付き、解約を申し出ても、事業者からは努力不足を指摘され、自己責任に転嫁され解約には至らない。さらに、契約書は消費者にとって不利益な条項が複数設けられ、消費者単独での解決は極めて困難である。

 しかし、消費生活相談に繋がった場合は、消費者関連法規に基づく解決方法を助言し、支援を受けながら自主交渉で解決する場合がある。状況次第では、消費生活相談員が消費者と事業者の間に介入する「あっ・・・

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