中国消費者法事情(その33)
─中国民法典と消費者保護①─

弁護士(大阪) 白出博之1

第1 中国民法典による契約関連制度の刷新2

 「中華人民共和国民法典」が2021年1月から施行されている。以下、消費者権益保護の観点から重要な民法典の契約編、権利侵害責任編の関連規定を紹介する。

1 電子契約の締結ルールを整備

第491条【確認書締結による契約・電子契約の成立時期】 (1項略)

2 当事者の一方がインターネット等の情報ネットワークを通じて公表した商品又はサービス情報が申込の条件に適合する場合、相手方が当該商品又はサービスを選択し、かつ注文書の提出に成功した時に契約が成立する。但し、当事者に別段の約定がある場合を除く。

1)民法典491条2項は、「電子商取引法」(2018年)の規定を吸収して電子契約の成立時期について定める。すなわち、電子契約の成立要件は、①当事者の一方がインターネット等の情報ネットワークを通じて発表した商品・サービスの情報が申込みの条件に適合していること、②相手方がその商品・サービスを選択し、注文書を提出に成功したことである3

2)オンライン取引の場合、当事者が商品・サービスの情報を発する情報ネットワークシステムには通常、互換性があり、相手方・・・

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