広告と表示の問題、ステマ規制の導入

弁護士(東京) 染谷隆明、越田雄樹

1 はじめに

 近年、急速なデジタル化に伴い、広告市場は多様な発展をみせている。従来主流であったのはテレビ広告であったが、2019年にはインターネット広告がテレビにおける広告市場を上回り、また、2021年にはマスメディア4媒体(新聞、雑誌、ラジオ、テレビ)の広告市場額を超えるなど、インターネット広告は広告市場の中心となった。

 広告にかかわる法律としては、「広告法」という統一法典はなく、例えば、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)や、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)、健康増進法、医療法などが挙げられる。

 適用対象となる広告、表示は各法律によって異なるが、2023年10月1日より施行されたステマ規制含め、インターネット広告においても一般消費者との取引に係る広告一般に共通して適用される景品表示法の重要性がより一層増している。そこで、本稿においては景品表示法の表示規制の概説を行う。

2 景品表示法における表示規制

 景品表示法は、不当な表示や過大な景品類の提供による顧客の誘引を防止するため、一般消費者の自主的かつ合理的な選択を阻・・・

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