天王山の名古屋高裁の闘いで歴史的大勝利
─物価偽装をただす─(第18回)

フリーライター 白井康彦

 我々が取り組んできた「いのちのとりで裁判」は、2023年11月30日の名古屋高裁判決が天王山になると思っていました。傍聴席の最前列で長谷川恭弘裁判長の判決言渡しの言葉を聞いていて「歴史的大勝利だ」と驚きました。勝訴を予想していましたが、勝ち方が想像以上に強烈なものだったのです。判決は、行政処分の取消しを認めるだけでなく国の賠償責任も認めました。原告一人につき1万円の慰謝料の支払いを命令し、国の責任について「少なくとも重大な過失がある」と強調しました。「故意があったのかも」というニュアンスがあります。私の感覚では「名古屋高裁が厚生労働省の生活保護行政に鉄槌を下した」ということです。

 行政側が勝って当然のように思われているのが行政訴訟なのに、いのちのとりで裁判では2022年5月25日の熊本地裁判決から、信じられないような「行政敗訴ラッシュ」になっています。2023年12月7日時点では、地裁で22件、高裁で2件の判決が出ています。我々側から見ると、2022年5月13日の佐賀地裁判決までの9件は「×◯×××××××」で1勝8敗でした。2021年2月22日の大阪地裁判決で勝・・・

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