生活保護問題対策全国会議代表幹事 弁護士(京都) 尾藤廣喜
分科会開催の目的
2013年から、史上最大の保護基準引下げがなされ、これに対する裁判は、勝訴判決が相次ぎ、歴史的な成果をあげています。一方、コロナ禍で、多くの市民が生活に困窮し、格差が広がっているなかでも、「生活保護だけは死んでも受けたくない」という意識はなかなか変わりません。
裁判の成果を生かし、こうした市民意識を変えるためには、今こそ、「生活保護法」を権利性のより明確な「生活保障法」へと改正することが必要であると考え、私達は、今回の被害者交流集会で、「今こそ、『生活保護法』から『生活保障法』へ」をテーマに分科会を開くことにしました。
この分科会の講師は私が務めました。講演内容の概略は以下のとおりです。
日本の貧困の状況
2022年度の貧困調査の結果では、日本の相対的貧困率は15.4%、1932万人の貧困者がいると推定されています。ところが、生活保護利用者は204万人とこのうちのわずか10.6%にすぎません。また、コロナ禍で貧困が深化するなかで、40年ぶりの物価急騰が追い打ちをかけるように低所得者を直撃しています。
にもかかわらず、政府は・・・
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