韓国最強の市民運動団体「参与連帯」訪問録

生活保護問題対策全国会議事務局長 弁護士(大阪) 小久保哲郎

1 韓国調査の趣旨

 2023年10月14日、第12回東アジア金融被害者交流集会が韓国ソウルで開催された。韓国は、1999年、市民運動の力で国民基礎生活保障法を制定し、恩恵的な「生活保護法」から「権利としての福祉」へと転換した。日弁連は、2008年から「生活保護法」を「生活保障法」へ改正することを提言しているが、未だ果たせていない。せっかく韓国に行くのだから、どのようにして法改正を成し遂げたのか、運動の最前線の方々の話が聞きたい。韓国語のできる柘植直也弁護士のコーディネートのおかげで、2023年10月12日に普遍的福祉を目指す「福祉国家ソサイエティ」、同月13日に国民基礎生活保障法制定運動を最前線で牽引したムン・ジニョン教授とソン・ギョンヨン神父、参与連帯を訪問しレクチャーを受けることができた。

 前二者の報告は別稿に委ね、私は参与連帯について感想を交えながら報告したい(〔 〕内が私の感想コメント)。

2 参与連帯とは

 参与連帯は、自前の5階建てビルを持つ、韓国最強の市民運動団体だ。ビルの1階にはお洒落なカフェがあり、早めに着いた私たちは・・・

この記事は会員に限定されています。ログインしてください。
会員になるには「会員に申し込む」をクリックしてください。