韓国市民団体:福祉国家ソサイエティでの交流を通して
国民基礎生活保障法に鑑みる生存権の施恵的色彩と権利性

大阪経済法科大学法学部法律学科学部生 佐竹正徳

【要点】ヨーロッパの「福祉国家」づくりをめざす民間団体が福祉国家ソサエティだ。2007年にでき、福祉の普遍主義を目標とし、ソウル市における無償給食の実現を後押しした。また、国民生活基礎保障法の制定の意義、基礎保障法の実施を担う社会福祉公務員の業務と実状等についてもヒアリングさせていただいた。

1 国民基礎生活保障法の制定まで

 1997年、韓国は朝鮮戦争以来、最大の国難に遭う。アジア通貨危機である。文字どおり国家が倒産する直前、失業率は6.8%、失業者は185万人を超え、街は多くの生活困窮者で溢れた。そして、そのような市民を前に、当時の(韓国の)生活保護法は、対象者を18歳未満、65歳以上の者とする厳格な年齢要件によって極めて冷淡に対峙した。このような状況で、福祉は権利という信念の下、市民団体は「一般の人も利用できる公的扶助制度をつくろう」と声をあげた。国民基礎生活保障法実現への大きな一歩である。98年7月、国民基礎生活保障法の提案があった。これは、上記厳格な年齢要件の改革を含むものであったが、なによりその名称に特徴がある。というのも、「生活保護・・・

この記事は会員に限定されています。ログインしてください。
会員になるには「会員に申し込む」をクリックしてください。