適格消費者団体による申入書・回答書の公表

弁護士(兵庫) 鈴木尉久

第1 はじめに

 適格消費者団体は、不特定かつ多数の消費者の利益を擁護するために、事業者による消費者契約法に抵触する不当な契約勧誘や不当な契約条項の使用の差止請求権を有している[1]

 適格消費者団体が、訴訟外で差止請求権を行使する場合[2]、事業者に対して、不当勧誘や不当条項の使用を止めるよう求める申入書を送付することになる。

 そして、通常、適格消費者団体は、事業者に対して送付した申入書や、この申入書に対する事業者からの回答書等、相互間で交わされた文書を、みずから開設しているホームページ上で公表している。

 ところが、このような申入書や回答書等のホームページ上の公表について、差止の申入れを受けた事業者が、適格消費者団体に対し異議を述べることがある[3]

 本稿は、事業者から申入書・回答書等のホームページ上の公表について異議が出された場合に、適格消費者団体がとるべき対応について、法的観点から分析しようとするものである。

第2 申入書の公表について

 適格消費者団体は、不当勧誘・不当条項の差止請求を内容とする申入書を、相手方事業者の異議があったとしても、公表することができる。相手方事・・・

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