「消費者団体の現状及び今後に向けた論点整理〜政策提言機能を担う消費者団体を中心とした調査報告〜」について

内閣府消費者委員会事務局政策調査員 大野高弘

1 はじめに

 行政は、消費者の権利を尊重し消費者政策を推進する責務を有しており、政策決定過程において、消費者の意見を聴くことは重要である。これまで消費者行政における消費者の意見を表明する役割は、主に消費者団体が担ってきたが、昨今、従来活動を支えてきた女性の社会進出により専業主婦が減少している等の消費者団体を取り巻く環境の変化もあり、消費者団体の活動が縮小しているとの見方がある。仮に消費者団体の力が弱まり、消費者の意見を行政に届ける役割を担う力が弱まると、消費者の権利が十分に配慮されなくなることも考えられ、消費者全体の不利益となる可能性がある。そういった問題意識から、消費者委員会では、まずは消費者団体の現状と課題を明らかにすることを目的に、消費者団体ヒアリング調査(国や都道府県の審議会に消費者代表として参画している団体や適格消費者団体を対象)及び消費者アンケート調査を行い、主に消費者団体が担ってきた政策提言機能を維持していくために重要と考えられる論点の整理として令和5年8月に調査報告を取りまとめた1。本稿ではその概要を紹介する。

2 我が国の消費者

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