若者に広がる情報商材マルチ被害
─10月31日埼玉シンポの報告をベースに─

弁護士(埼玉) 丹野駿吾

1 爆発的に広がっていた情報商材マルチ

 令和元年頃から、若者、とりわけ大学生を中心に投資用USBソフトを商材としたマルチ被害が爆発的に発生しました。

 相談を聞くと被害態様が皆、同じでした。まず、友人から飲みに行こう等と誘われ、そこで「投資で稼いでいるすごい人がいるから紹介したい」等と言われます。その後、都内のカフェに呼ばれ、その「すごい人」から「投資で稼ぐことが必要なんだ」と力説されます。そして、その稼ぐ手段として、投資に使えるUSBソフトを紹介され、そのUSBソフトを学生ローンや消費者金融で借金をさせられたうえ、購入させられます。被害金額は約50万円です。

 相談の際に出てくる業者の名前もいくつかのものに集中していたことから、被害実態を把握するとともに被害者の救済をすべく埼玉弁護士会所属の有志弁護士により、令和元年7月17日付で埼玉若者マルチ被害対策弁護団を結成しました。

2 弁護団の成果

 弁護団の対応として、被害の多い業者(株式会社i tec japanや、株式会社Axis等)に対しては、原告がある程度集まった段階で集団訴訟を行っていました。

 弁護団発足当時は、上記のような特・・・

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