消費生活相談のデジタル・トランスフォーメーションに向けて
─広域連合の独自の取組みについてー

全国消費生活相談員協会中部支部 竹村幸枝

1 はじめに

 消費生活相談は社会情勢が大きく反映する。近年では、通販トラブル、SNSをきっかけとした儲け話や投げ銭など、デジタル化に伴う相談が多く寄せられ、急速なデジタル化の進展により、消費生活相談も多様化・複雑化している。

 2022年に「消費生活相談デジタルトランスフォーメーションアクションプラン」が、消費者庁及び国民生活センターより公表された。広域連合消費生活センターでは、2021年より消費生活相談のデジタル化の独自の取組みとして、zoomによるオンライン相談を開始した。その相談現場の実情を述べたい。

2 現場での対応

 80代の相談者は対面相談を希望していた。しぶしぶオンライン相談を受けたが、持参したスマートフォンの写真画像をタブレット画面にうまく見せることができず、ようやく確認すると、そもそもの写真はピンボケしていた。時間がかかるばかりで相談は進まず、相談者は「なぜ相談員がいないのか」と怒り出した。

 契約書等が紙媒体の場合は、職員が遠隔地の相談員へFAXで提供する。データの場合は、相談者自身にデータ送信により提供してもらう必要があるが、機器の操作が不・・・

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