厚生労働省・消費者庁などの食の安全軽視を糺す

食の安全・監視市民委員会共同代表 山浦康明

 厚生労働省、消費者庁、消費者委員会は消費者の生活全般とともに食の安全を所管する役所だが、その機能は後退している。

 食の安全・監視市民委員会は8月意見書「食品衛生法改正に反対します」を厚労省に提出し、消費者目線に立ち返ってほしい、と質問し要望した1

 政府は2023年の通常国会に「食品衛生法の一部改正」案を上程し、国会で十分な審議も経ず、また消費者に情報を十分に知らせることなく改正した。その結果、「生活衛生基準行政」を厚労省から消費者庁と環境省などに移管することとなった(24年4月1日施行)。食品の規格基準の策定は消費者庁に移管する。また水道の品質基準の策定は環境省に、水道整備は国交省に移管する。背景には、厚労省が医薬品行政を重視し、食品の安全問題に関わることを避けたい本音が見え隠れする。例えば食品添加物のうち指定添加物・既存添加物2の評価作業は長年の課題だが、予算措置も不十分で評価作業は進展していないのである。

 食の安全については、消費者庁に新たに「食品衛生基準審議会」が、厚労省には「厚生科学審議会」が設置され、これまでの「薬事・食品衛生審議会」は「・・・

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