食ジャーナリスト 小倉正行
食品衛生法は、戦後、1947年に制定されて以降、一貫して、厚生労働省(当時は厚生省)の所管法律として、施行されてきた。しかし、今回、成立した「生活衛生等関係行政の機能強化のための関係法律の整備に関する法律」により、食品衛生法は、所管が内閣総理大臣(消費者庁)となり、所管が厚生労働省から消費者庁に移管されることになった。このことは、不十分ながら消費者の食の安全を確保してきた体制を大きく変更させることになり、さまざまな問題を将来的に生じさせる可能性がある。それらの点について指摘したい。
第一に、今回の食品衛生法の所管が厚生労働省から消費者庁に移管されるという歴史的転換が全く国民に知らされないままに強行されたことである。食の安全問題は、国民の最大の関心事の一つであり、国民は、食の安全を第一に考えて食生活を営んでいる。その食の安全を確保する法律が、食品衛生法であり、戦後1947年以降、一貫として厚生労働省が所管省庁として、不十分ながらその役割を果たしてきた。特に、食品安全の規格基準を設定する行政と検疫、保健所などの食品安全監視行政との連携性は、同一省内で確保されてきた。・・・
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