なぜ第二臨調を問うのか
─日本社会疲弊の原点─

元大学教員 柴田武男

はじめに

 OECD加盟国の2021年平均年間賃金のランキングによると日本は4.1万ドルで34ヵ国中24位、アメリカの半分強であり、19位の韓国より4000ドル低い。(「連合・賃金レポート2022」それも、主要9ヵ国の1991年以降30年間の推移をみると、当初日本は5番だったが、フランス、イギリス、スウェーデン、韓国に抜かれ、現在はイタリアとともに最下位である。30年間で主要先進国で最低の賃金水準となっている。この30年間で何があったのか、その一端を第二臨調の改革に求めるのが、本稿の趣旨である。

① 奨学金制度における第二臨調の提言

 日本学生支援機構が発足する2004年4月以前には、日本の奨学金事業は日本育英会に担われてきた。日本育英会では、奨学金の貸与は無利子であり、その原資は国からの貸付金であった。1960年の大学生数は63万人、1980年には184万人と急増して、奨学金の需要も急増してきた。大蔵省主計局『歳出百科』(1980年)ですでに急増する奨学金について、「貸与月額の引上げや貸与人員の増員を行うことは極めて困難です」と指摘している。第二臨調では、「育英奨学金の有利・・・

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