結婚式場の解約料条項の差止請求訴訟に至る経過

ひょうご消費者ネット検討グループ 弁護士(兵庫) 谷口芙美

1 差止訴訟の提起

 当団体は、令和5年7月26日、「ザ マーカススクエア神戸」等多数の結婚式場を運営する株式会社ポジティブドリームパーソンズに対し、同社の結婚式及び披露宴利用規約の解約料条項(以下、「本件解約料条項」という)の差止め等を求めて神戸地方裁判所に差止請求訴訟を提起しました。

2 本件解約料条項の問題点

 本件解約料条項は、結婚式及び披露宴の181日前までの解約については申込金20万円全額及び実費を解約料として申し受ける旨規定しています。これでは契約締結直後の解約の場合で、しかもそれが181日前の解約であった場合でさえ、消費者は実質的に申込金の返金を一切受けられない結果となり、消費者契約法9条及び10条に抵触すると考えられます。

 本件解約条項については、既に平成23年11月9日、全国消費生活相談員協会から使用停止を求める申入れを行い、同社がこれに応じて不当条項の削除や改定を行うとしたため、平成24年10月10日に全相協は申入れを終了しました。ところが、平成24年以降も消費生活センターに286件の相談が寄せられるに至っており、結婚・・・

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