【悪質】定期購入サイト事業者vs.相談員
─虚しき闘い─

消費生活相談員 日向淑子

はじめに

 2017年に相談員としてデビューした私を襲ったのは、連日寄せられる定期購入サイトに関する相談だった。相談を受けるたびに私の気持ちは消沈した。相談者は「解約できない」と怒るが、悪質事業者の狡猾な狙いにハマってしまったのだ。易々と解約できるはずがない。

電話がつながらない

 事業者と電話で話をするには、強い忍耐力が求められることが多い。「混んでいる」というアナウンスを聞きながら、1時間以上もオペレーターが出るのを待つ。また、「解約は◯番」という音声案内に従って指示された番号を押すが、「ネットで手続きしてほしい」といきなり切られてしまう。結果、すべての番号を押して、オペレーターとつながるまで架電を繰り返すことになる。

高齢者が解約できずに憔悴

 70歳代男性から「化粧品の定期購入を初回のみで解約しようと電話をかけたがつながらない。サイト内での解約も試みたが、手続きできない。仕方なく契約解除のハガキを送った。その10日後にポスト投函で商品が届いてしまい、困って受取拒否した。その代金を支払いたくない」という相談を受けた。

 事業者に電話をかけると、「ハガキは届いているが、既に解約・・・

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