リボ払い債務を受働債権とする相殺・試論

弁護士(神奈川) 茆原洋子

1 一括払いの利息制限法超過貸付取引による過払いのリボ払いへの充当→相殺

 平成18年法改正22年施行のころに、一括払いの利息制限法超過貸付取引から、制限内リボ払い取引に移行した事例が多い。充当に関する何らかの合意がなくても民法489条(現行499条4項)により、他の債務に充当が認められなければならない。訴訟前にリボ払いへの充当を認め一連計算で返還を認める会社もある。これに対して、「一括払いの利息制限法超過貸付取引と制限内リボ払い取引との間には充当合意なし」とする判決もある(逆に判決で充当を認めた例は高松高判令和2年10月8日・本誌126号140頁)。

2 次に一括払い制限超過取引とリボ払い制限内取引とは、「別の基本契約であり充当合意はない」と判決で判断された後に、制限超過取引で生じた過払部分を自働債権とし、利息制限法ちょうどもしくはそれ以下の利率でのリボ払い取引を受働債権とする相殺はできるか、その論理について検討する。

3 本来の相殺判断

 民法505条の相殺の要件に関して、もともと、大判昭和8年5月30日(民集12巻1381頁)は、「受働債権については、弁済期未到来でも・・・

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