過払金の支払いを命じた大阪地裁令和5年7月27日判決獲得の舞台裏

弁護士(大阪) 小久保哲郎

1 はじめに

 本件は、過払金返還請求事件(被告は新生フィナンシャル㈱)において、同一の基本契約で取引中断期間があっても一連一体計算が認められた事案である。

 被告側は、①第1取引と第2取引との間に2年3か月の取引中断期間があること、②第1取引終了時に51万2874円の繰上一括返済がなされていること、③第1取引終了後に原告がカードを廃棄していることなどから、原告には第1取引終了時に取引を終了させる意思があり取引は分断しているとして、消滅時効の援用を主張した。また、被告側は、類似の事案で取引分断を認めた地裁、高裁判決を大量に提出してきた。その中には直近(令和4年)の大阪地裁や大阪高裁の判決もあり、しばらく過払事件をしない間に裁判例の流れが様変わりしていることに驚いた。これらの判決内容に照らせば、特に②の第1取引終了時の多額の繰上一括返済からすると取引の分断が認められてもやむを得ないのではないか、と弱気にもなった。

 そこで、全国クレサラ・生活再建問題対策協議会のメーリングリストで教示・助力を求めたところ、茆原洋子弁護士(神奈川県)と小林孝志弁護士(宮崎県)からDMで参考にな・・・

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