デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ報告書
─チャットを利用した勧誘の規制等のあり方について─

内閣府消費者委員会事務局参事官補佐 小田直子
同事務局建議・勧告専門職 辻本佑香

1 はじめに

 内閣府消費者委員会は、令和4年9月に「SNSを利用して行われる取引における消費者問題に関する建議」を発出した。同建議において、積極的な勧誘がなされる通信販売における規制等の検討の必要性が指摘されたことから、令和5年1月から「デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ」にて、いわゆるチャットを利用した勧誘による販売の特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法」という)の規制等のあり方を中心に検討を重ね、その結果を報告書として取りまとめた。以下では、本報告書1の概要を紹介する。

2 チャットを利用した勧誘による販売の問題点

 消費生活相談の事例から見られた問題点は、以下①〜⑧のとおりである。

① 勧誘に先立っての事業者名等の不明示

② 勧誘に先立っての販売目的等の不明示

③ 再勧誘

④ 不実告知・故意の事実不告知、断定的判断の提供

⑤ 適合性原則違反等

⑥ 解約妨害

⑦ 契約時の商品等の種類の不明示

⑧ その他(消費者の自主的かつ合理的な選択の機会を損なうおそれのある行為)

3 チャットを利用した勧誘及び同勧誘による販売

・・・

この記事は会員に限定されています。ログインしてください。
会員になるには「会員に申し込む」をクリックしてください。