優生保護法 被害の時効を超えるため、最高裁の壁を破る

全国優生保護法被害弁護団代表 消費者・人権被害救済活動の各種代表 弁護士(宮城) 新里宏二

 消費者法ニュースリレー報告会において、2013年から始めた優生保護法被害救済の取組みの到達点を報告し、この取組みから弁護士活動の意味を少し考えてみることとする。

1 旧優生保護法の成立

 旧優生保護法は1948年、戦後の人口増加により食糧が不足する状況のなか「先天性の遺傳病者の出生を抑制することが國民の急速なる増加を防ぐ上からも、亦民族の逆淘汰を防止する点からいっても必要である」との理由で制定された。ドイツの断種法にその源流があり、1940年に成立した国民優生法の延長線上で、戦後現憲法下で作られた。

 同法1条は、「この法律は、優生上の見地から不良なる子孫の出生を防止する」としている。国会では全会一致で成立する。明らかに憲法13条で保障される生殖に関する自己決定権及び身体への侵襲を受けない自由を侵害し、さらに障害者を差別するものであり、人としての尊厳を踏みにじるものであった。その立法目的を正当化する余地のない明白に違憲な法律であった。

 戦後(現憲法下における)最大の人権侵害である。優生手術被害者は約2万500・・・

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