日本の貧困─貧困者の結束は可能か?─

全国クレサラ・生活再建問題対策協議会 弁護士(大阪) 木村達也

1 消費者被害者の登場

 私達の若い頃、1980年代には、サラ金・クレジットの多重債務問題、ヤミ金融、投資詐欺、訪問販売被害、豊田商事、霊感商法、欠陥商品、別荘地商法、欠陥住宅、呉服過量販売などが目白押しに発生し、そうした被害救済のために次々と弁護団が結成され、「110番活動」が行われました。そして、被害の発生予防のため、消費者契約法や各種の消費者保護法の改正運動が行われました。

 いわば、私達の若い頃は“消費者弁護士”が華やかに活躍する時代でもありました。

(1)この頃の多重債務者や消費者は、一般に仕事を持っており、家族があり、若さもありました。不足していたのは法的知識、契約知識、賢明さでありました。多くの人は多重債務の整理ができれば、健全な生活に戻れたのです。

 40年前の日本は、高度経済成長の真っただ中にあり、多くの国民は中流意識を持ち、一生懸命働けば豊かな生活を獲得でき、安心安全な老後がある、いわゆる中流層の生活を夢見て希望を持って頑張る時代でした。社会全体はまだまだ物不足、住宅不足の時代で、物を作ればよく売れたし、物や家を買うこ・・・

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