弁護士(大阪) 長野真一郎
1 大阪市はカジノを中心とするIR事業を運営する大阪IR株式会社に対して、大阪湾にある埋立地である「夢洲」の市有地を35年間の事業用定期借地権設定契約でもって賃貸しようとしている。この賃貸契約の差止めを求める住民訴訟としては、別途報告されている先行訴訟があるが、本訴訟はそれに引き続いて、官製の「談合鑑定」の疑惑がある違法な不動産鑑定によって、夢洲の土地を、きわめて格安の賃料で貸そうとしていることを理由にして、その賃貸の差止めを求める住民訴訟である。この二つの住民訴訟は、現在、大阪地方裁判所で併合されて進行している。
2 大阪市が市民の貴重な財産である市有地を賃貸する場合には、これを「適正な対価」(地方自治法237条2項)で賃貸する責任がある。従って、大阪市としては、適切・適正な不動産鑑定などの資料を踏まえつつも、大阪市独自の判断と責任において、適正な対価で賃貸する法的な責任がある。
本件のようなカジノを中心とする営利事業を目的とする民間会社に市有地を賃貸する場合には、上記の法の要請はより高い。市有地賃貸の対価である賃料は、大阪市(市民)にとって最大の利益が生じるような・・・
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