大阪IR借地権設定契約差止訴訟について

弁護士(大阪) 荒木晋之介

 私は、大阪地方裁判所に係属中の、大阪IR事業用地借地権設定契約締結等差止請求訴訟(以下「本件訴訟」)の原告代理人です。本件訴訟の現状についてお伝えします。

 大阪IR事業は、大阪府(「府」)の事業ですが、大阪市(「市」)が所有する土地()を事業者(大阪IR株式会社(「大阪IR(株)」))に賃貸して行います。しかし、夢洲は浚渫土砂及び建設残土による埋立地で軟弱地盤、土壌汚染、液状化、地中埋設物、地盤沈下という課題を抱えています。このこともあり、2022(令和4)年度の大阪市港営事業会計予算でIR事業用地に係る土地改良事業のために、788億円を限度額とする債務負担行為をすることができると定められました。しかし、788億円には、地盤沈下の対策費用は含まれていません。そのため、市の負担が際限のないものとなる危険があるのです。

 同年7月29日、原告住民らは、大阪市長と大阪港湾局長を被告として、本件訴訟を提起しました。本件訴訟で求めているのは、大要、次の内容です。

・大阪IR(株)と、事業用地の借地権設定契約を締結してはならない

・事業用地の土地改良事業のため、大阪IR(株)に対し・・・

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