取り組むべき消費者政策の方向

日本消費者政策学会会長 昭和女子大学福祉共創マネジメント研究科特任教授 飛田史和

 消費者政策は、消費者が複雑な消費生活のなかで直面しているさまざまな問題を解決することを目的としている。その政策を関与の度合いに応じて三つのカテゴリーに分けることができる。

1 脆弱な消費者を救う政策

 第一のカテゴリーは欺きへの対処である。多くの人が取引する社会では、意図をもって消費者を搾取しようとする輩を排除できない。消費者契約法、特商法、金商法など法を以てこれらの行為を規制するとともに、ITや技術革新に乗じて新しい手法で欺こうとする業者には対処していく必要がある。消費者政策として第一に対処すべき警察行動である。しかしながら警察行動だけでは社会を良い方向に変えていくには力不足であるという憾みがある。

2 消費者のバイアスを正す政策

 第二のカテゴリーは正しい方向へ向けての誘導である。将来への貯蓄や、他者への協調などについて、消費者は自分が思っているほど適正な行動をしているわけではない。

 近年では行動経済学と心理学の知見を用いて、消費者が意思決定する枠組みをほんの少し変えるだけで、人々の反応に大きな影響が与えることができ・・・

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