編集後記

 今号は、「マルチ商法家族被害特集」を組みました。これまで、マルチ商法にかかわる相談は、もっぱら被害者本人を当事者として位置づけてきており、家族被害という点で焦点が当てられることはありませんでした。

 昨年の安倍首相の襲撃事件以来、宗教2世の問題が明らかとなり、統一教会による家族被害に社会の関心が向くようになりました。実は、マルチ商法の場合も宗教問題と類似したところがあって、同様にカルト性があります。被害者本人は、カルトの虜になっていて、被害に気が付きません。家族が被害者本人のカルトからの脱却のために苦労するという点では極めて類似しています。宗教被害の相談に対する対応方法について加納弁護士が紹介していますが、マルチ被害の相談にも応用のできる方法だと思います。

 家族被害といった新たな課題について、住田弁護士は家族自身を当事者とする被害救済のための法理を示してくれました。平林相談員は、消費生活相談の現場では、これまで当事者本人でなければあっせんが開始できないなど、家族被害については対応できていない現状を示しています。佐々木さん、藤本さん及び鈴木さんは、家族被害の当事者として、専門の相談窓口がこれま・・・

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