スウェーデンの高福祉高負担を支える財政

横浜国立大学大学院国際社会科学研究院教授 伊集守直

 スウェーデンは、高福祉・高負担の国として知られている。実際に、医療や福祉、教育などの対人社会サービスが公共部門を中心に供給される一方で、それを支える税負担は国際的に見ても高いものとなっている。そのため、そのような高い税金を国民に求めながらサービスを充実させることはなぜ可能なのか、国民はそのことについて納得しているのか、といった率直な疑問が寄せられることも多い。そこで、ここではスウェーデンにおける実際の高福祉高負担の仕組みについて紹介しながら、日本とスウェーデンの財政の違いについて考えてみたい。

 まず、高福祉、あるいは政府サービスの面について見てみよう。政府部門は、道路や上下水道などのインフラ整備、防衛・警察・消防などの国民生活の安全、教育や医療、福祉などの対人社会サービスなど、さまざまな分野で活動を行っている。その支出規模(対GDP比、2016年)を見ると、スウェーデンでは50%程度、日本では40%程度となっている。そして、この10%の差は、とくに教育と社会保障にかけている支出の違いによるところが大きい。

 スウェーデンでは、教育は小学校から・・・

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