岩手県立大学総合政策学部教授 窪 幸治
1 はじめに
消費者契約法4条3項が定める不当勧誘取消権の困惑類型は、制定時の2号から実体法部分に係る2018年の第二次改正、2022年の第三次改正を経て10号にまで増えた。しかし、条文に過度の明確性が要求されるあまり、個別具体的な場面に特化した規定群となっており、特定商取引法との重複も大きく使い勝手はよいとはいいがたい1。
その状況も一つの理由として、消費者契約法の抜本的検討及び消費者法の将来像に係る「骨太の議論」が必要とされ2、消費者庁「消費者法の現状を検証し将来の在り方を考える有識者懇談会」等で議論されていくことになった。
いずれ困惑類型は整理されようが、本稿は次なる消費者契約法改正に向けての準備と、その間の救済充実のため、現行の困惑取消権活用を提唱したい。
2 現行法の内容
不当勧誘取消権の一つとして困惑類型は、制定時に不退去(1号)、退去妨害(2号)、第二次改正で経験不足による不安をあおる告知(5号3)、好意の感情の誤信に乗じた破綻の告知(6号)、判断力低下による不安をあおる告知(7号)、霊感等による知見を用いた告知(8号)4、契約前の義務実施・活・・・
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