決済法制の現状と課題

弁護士(東京) 坂 勇一郎

1 決済法制の課題

 決済法制の主な課題は、①決済サービスが確実に行われることの確保、②利用者資金の預入れを伴う決済(前払い、即時払い)における利用者資金の確保、③与信を伴う決済(後払い)における過剰与信の防止、④無権限者による不正利用の防止と適切な救済、⑤悪質加盟店による被害の防止と適切な救済、⑥個人情報・プライバシーの保護、⑦マネーロンダリングの防止である。現行のサービスにおいて、これらが適切に確保されているかが、問題である。

2 この間(過去1年)の主な動き

 第1に、2022年通常国会において、資金決済法等の改正が行われ、①電子決済手段等取引業等の創設(「ステーブルコイン」への対応)、②為替取引分析業の創設、③高額電子移転可能型前払式支払手段への対応(取引時確認義務等)等の整備が行われた。改正法は、本年6月3日までの間に施行される。

 第2に、公金のペイ払いについて、2022年1月4日に、地方自治体の歳入等につきスマホアプリ等の決済方法を認める改正地方自治法が施行された(指定納付受託者制度)。また、2022年通常国会において、国の歳入等についてスマホアプリ等の決済方・・・

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