モノなしマルチ商法問題と神戸地裁姫路支部令和4年7月25日判決について

弁護士(兵庫) 安田孝弘

1 近年、若者を中心に、化粧品などの商品ではなく、投資や副業などのサービスに関するマルチ商法、いわゆる「モノなしマルチ商法」が増加傾向にあるとされています。「モノなしマルチ商法」では、具体的な商品、モノがなく、紹介者が、投資や副業などで簡単かつ確実に儲かるかのような言辞を弄して、周囲の人々を誘い込み、大金を払わせますが、現実には上手くいかないことが大半です。自力でお金を用意できない人には、家族など周囲の人々からお金の融通を受けさせるか、消費者金融に借りに行かせるなどしますので、蓄えがない若者も被害に遭いやすいという特徴があります。

2 国民生活センターHPでは、具体的な被害事例の一例として、FX自動売買ソフトのマルチ商法、オンラインゲームのアカウントを取得するよう人を勧誘して稼ぐ副業のマルチ商法、投資の勉強会にかこつけたマルチ商法などの事例が紹介されています。

 モノなしマルチ商法については、国民生活センターのみならず、各地の消費生活センターから、注意喚起がなされており、新聞報道もなされています。令和4年4月における成年年齢引下げの施行により、今後、ますます、新成人を中心・・・

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