消費者機構日本の活動から
─主な成果と課題─

消費者機構日本専務理事 板谷伸彦

最近の主な成果と課題

 順天堂大学医学部の不正入試に対する被害回復訴訟で簡易確定手続が終結し1184人の被害回復が実現しました。制度上の制約により実損害の範囲に限定されたものの、手続参加を容易にして共通多数の被害回復を図るという制度の趣旨を一定に実現することができたと考えています。今回は順天堂大学側から対象者すべての名簿が提供され、連絡先不明の方を除き約9割の方々に直接通知することができました。それにもかかわらず手続きへの参加が全体の約半数にとどまったことは、消費者被害回復訴訟制度についての認知度の向上が引き続き課題であることを示しています。この手続きの終結により、係属中の被害回復訴訟は最高裁判所の審理を待つワンメッセージ訴訟1件のみとなりました。特定適格消費者団体としての役割を発揮していくため、新たな被害回復に果敢に着手していくことが課題です。

 差止請求では、芸能人養成学校のエーチーム・アカデミーに対する訴訟に控訴審判決が出されました。一審判決は差止請求自体について認容したものの、入学時諸費用の権利金的性格を是認しその一部を返還不要とするものでした。それに対・・・

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