弁護士(京都) 志部淳之介
1 消費者契約法の改正について
2016年、2018年、2022年と三度の改正を経て、なお積み残した課題があることは多くの論考が指摘する(例えば山本敬三「2022年消費者契約法改正と今後の課題(1)」NBL 1230.4頁)。ここでは、内容について逐一解説しない。批判に終始しても前に進まない。今後の話がしたい。
2 消費者法の現状を検証し将来の在り方を考える有識者懇談会(「懇談会」という)
一早く行動したのは、消費者庁である。改正直後の2022年8月30日には、第1回会議が開催された。2023年3月22日には、「消費者法の現状を検証し将来の在り方を考える有識者懇談会における議論(案)」と題する文書が公表された(「取りまとめ案」という)。研究者も、改正直後から多くの論考を発表している。消費者側はどうか。
3 懇談会の議論が提示した内容
2022年の第三次改正の際、政府は「既存の消費者契約法の枠組みにとらわれない抜本的な検討」や「法体系全体の中での消費者法が果たすべき役割」や「いわゆる骨太な議論」の必要性に言及した(衆院消特委会議録4号、6頁の若宮大臣発言等)。懇談会は、これ・・・
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