現在も残る呉服過量販売

弁護士(島根) 田上尚志

 現在でも呉服ないし着物等の過量販売に走る業者は後を断たないようである。当職も最近、呉服等の過量販売に関する訴訟事件を取り扱った。過量販売に及んだ業者は、鳥取市に本店を置く株式会社和想(以下「和想」という)で、「和想館」の名称で鳥取県及び島根県に5店舗を展開している。被害者は島根県西部に居住する独身女性で、和想と取引を開始した平成26年11月23日に時点で26歳、取引が終了した平成30年9月2日時点で30歳であり、旧郡部の実家から市街地の職場に通勤する生活をしていた。証拠から明らかになった被害者の総収入は201万6000円(平成29年)であり、年2回の賞与はあるものの、毎月の手取給与額は11万5736円程度であった。

 本件被害者は平成26年11月23日から平成29年12月4日までの間に、和想から多数の商品を売り付けられ、その決裁のために株式会社セディナ(後にSMBCファイナンスサービス株式会社に商号変更。但し、本稿では以下「セディナ」で統一する)、山陰信販株式会社(以下「山陰信販」という)、日本海信販株式会社(後に株式会社エヌケーシーに商号変更)の各信販会社を個別信・・・

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