日本の民主主義運動強化のために(35)
─国家権力を暴く(2)─

弁護士(大阪) 木村達也

1 はじめに

 2022年11月25日、東京地検は、東京五輪・パラリンピックを巡る汚職捜査が、オリ・パラ組織委員会理事髙橋治之(元(株)電通理事)を中心とする4件の汚職事件の起訴で終わらせず、東京地検と公正取引委員会が共同して(株)電通を中心とする談合事件として捜査を開始した。

 この報道は良識ある国民にとっては想定内の事件であったと思う。それどころか、検察の捜査着手は遅きに失した感がある。そもそも、今回の東京五輪は招致活動段階から、スポーツ利権を巡り、(株)電通をはじめとする政治家やJOCを巻き込んでの生臭く、きな臭い話が流れていたからである。JOCをはじめとするスポーツ関係者は、“自分達は全く蚊帳の外にいて、実相は全く知らなかった”と他人事のような顔をしているが、巨額の税金が投入されている五輪、公共事業(?)にもかかわらず、関係者の間で恣意的にスポーツ利権の配分がなされていた。これを知らなかったと弁明することは許されない筈である。この事件の最終段階では、政治家をも巻き込んでの談合汚職事件に発展しなければならない。マスコミをも支配し得る、恐いもの知らずの(株)電通が誰・・・

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