官報デジタル化と「新・破産者マップ」問題

弁護士(東京) 三上 理

1 新・破産者マップ

 「新・破産者マップ」など破産者の情報を違法に拡散するウェブサイトの存在により、最近では、過去の破産者が知人等に破産した事実を知られてしまうというだけでなく、現在の多重債務者が情報の拡散を恐れて自己破産に踏み切れないこともある。

 個人情報保護委員会は「新・破産者マップ」を刑事告発したが、海外で運営されているという同サイトは今も公開され、運営者も特定されていない。

2 官報で公開された情報の拡散がなぜ違法なのか

 多くの利害関係人が存在する破産手続では、集団的扱いを適当とする場合がある。そのため公告をし、裁判の公告があれば一切の利害関係人に告知があったとみなし、権利行使の期限を画し、悪意を推定する。公告の目的は「利害関係人への告知」である。第三者が興味本位で情報に接することを容易にするための公告ではない。同じく官報掲載事項である法律の公布は「広く一般市民への周知」を目的としているのに対し、破産公告は「利害関係人への告知」に過ぎないことは、大きな違いである。

 過去に破産したという事実は、一般に知られたくない機微な情報である。その情報を不特定多数の者に容易に知・・・

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