弁護士(大阪) 小久保哲郎
第1 判決ラッシュ続き、勝敗拮抗する「いのちのとりで裁判」(生活保護基準引下げ違憲訴訟)
1 後半潮目が変わり地裁判決11勝10敗
2013年からの史上最大(平均6.5%、最大10%)の生活保護基準引下げの違法性を争う「いのちのとりで裁判」は全国29地域で30の訴訟が争われている。
その前半戦は、【表1】のとおり、2021年2月の大阪地裁判決で原告側が勝訴した以外は、請求棄却の判決が続き、原告側の1勝8敗だった。
請求棄却判決は、どれも瓜二つの内容で、私は、京都地裁、金沢地裁の判決が、福岡地裁判決の言い回しだけでなく、「NHK受診料」という誤字までコピペしていることを発見した。この「誤字までコピペ判決」問題は、神戸地裁判決が言い渡される12月16日、信濃毎日新聞が朝刊1面でスクープしたことから、メディアで大きく取り上げられた。翌2022年3月4日には、衆議院法務委員会で、最高裁長官代理の行政局長が、「裁判所の信頼を揺るがしかねないものとして重く受け止める」と答弁する事態にもなった。
その後、2022年5月の熊本地裁判決、同年6月の東京地裁判決で、相次いで・・・
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